ParticleTensorAI®は、時間依存の光散乱の物理に基づいています。移動する液滴や粒子は、整形された光ビームと相互作用し、時間とともに変化する散乱光信号を生じます。タイムシフト・飛行時間法(TSTOF)は、こうした信号のタイミングを用いて個々の粒子を特性評価します。ParticleTensorAI®は、これと同種の光学情報を、AIベースの信号シーケンス解析の基盤として利用します。
測定信号としての光散乱
光が粒子と相互作用すると、光の一部が散乱されます。記録される信号は、粒子そのものと、光場の形状や検出器の位置を含む光学測定配置によって決まります。
粒子が照明領域を通過すると、光場のさまざまな部分を通り抜けます。そのため検出器は、時間とともに変化する強度を記録します。このようにして、粒子と光の空間的な相互作用が時間依存の信号に変換されます。
粒子の運動が信号を形づくる仕組み
測定される波形は、光場を通過する粒子の運動の影響を受けます。その時間構造には、信号強度やタイミングの変化が含まれます。また、正確な信号形状は、粒子の光学的特性や、散乱光を検出する位置にも依存します。
つまり、光散乱信号は単なる明るさの尺度ではありません。その時間構造には、粒子が測定領域を移動する際に整形ビームとどのように相互作用するかについての情報が含まれています。
TSTOFの原理
TSTOFは、タイムシフト測定と飛行時間測定を組み合わせたものです。典型的な配置では、粒子は空間的に離れた2本の光ビームを通過します。検出器は、その結果生じる時間依存の散乱光信号を記録します。
- 飛行時間は、離れた2本の光ビームに対応する信号間の遅延から求められます。ビーム間隔が既知であれば、この遅延から粒子速度に関する情報が得られます。
- 異なる検出器位置で記録された信号間のタイムシフトは、粒子と光場の相互作用に依存します。このタイミング情報を飛行時間測定と組み合わせることで、粒子の特性を求めることができます。
一般的なTSTOF構成では、複数の検出器が異なる散乱方向からの信号を記録します。測定された時間関係を評価することで、粒子径と粒子速度を求めることができます。透明または半透明の材料の場合、測定構成によっては、屈折率や固形分率に関する情報も得られます。
TSTOF信号からParticleTensorAI®へ
TSTOFは計数法です。従来の評価では、個々の粒子に対応する信号を特定し、そのタイミングから粒子の特性を算出します。ParticleTensorAI®は、これとは異なる解析戦略を採用しています。1つまたは複数の検出器信号ストリームの一区間を保持し、そのデータをAI評価用のParticle Tensorとして配列することができます。
この違いは、記録された信号の処理方法に関するものです。どちらのアプローチも光学的な光散乱情報に基づいていますが、ParticleTensorAI®は、すべての粒子相互作用をあらかじめ個別のイベントとして分離することなく、バッファリングされた信号シーケンス全体のパターンを評価することに重点を置いています。
信号からわかること
抽出できる情報は、光学構成、検出器の位置、粒子の流れ、材料、評価手法によって異なります。信号のタイミングと形状は、粒子径や粒子速度の調査に利用できます。適切なデータと検証済みのAIモデルがあれば、ParticleTensorAI®は分類や材料に関連する特性も調べることができます。
これらの出力は、該当する測定条件に対して検証する必要があります。信号パターンだけで特定の結果が保証されるわけではなく、その解釈は物理的な測定と、それを解析する手法に依存します。
関連資料
TSTOF測定原理、その技術的基礎、他のレーザーベース測定法との比較についての詳しい説明は、以下のオープンアクセス論文でご覧いただけます。
Walter Schaefer, Lingxi Li, Patrick Stegmann, and Masaru Terada, “Technical Report on the TSTOF Measurement Method: Technical Basics, Historical Development, and Comparison with Other Laser-Based Measurement Methods,” Photonics, 13(1), 56, 2026. 論文を読む
